鉄道の運休により実質一日だけのコルカタ観光、しかも夕方にはシンガポールに向かうというちょっと慌ただしい日ですが、インド最後の日を楽しみたいと思います。
コルカタ(Kolkata)
どちらかというと、個人的には「カルカッタ」という名前の方が馴染んでいますが、2001年から現地語名のコルカタに改称したそうです。コルカタはデリーやムンバイと並ぶインドの大都市にして東インド最大の都市。デリーに遷都される1911年までは植民地インドの首都だったそうです。この遷都の理由は反英運動・独立運動が盛んだったからだとか。1690年にイギリスの東インド会社の拠点が置かれ植民地化が実質的に始まっていることを考えると、長い間、イギリスの影響下にあったことがわかります。
地下鉄でヴィクトリア記念堂へ
できればカーリー女神寺院に行きたかったのですが、時間が足りなくなりそうでしたので、ヴィクトリア記念堂から観光を始めることにしました。そこまでは地下鉄です。乗り方は特に難しくありません。ちなみに乗った車両には女性専用エリアがあり、そちらの方が空いていたのであやうくそちらに行きそうになりました。近くのおじさんがそっちはダメと教えてくれました。
ヴィクトリア記念堂(Victoria Memorial Hall)
イギリス植民地時代の美しい博物館
コルカタの街の喧騒とは隔絶されたモイダン公園にある白亜の大理石の美しい博物館です。この建物はあのタージ・マハールをモデルにしたとも言われているようです。内部は撮影禁止でした。
インド皇帝でもあったイギリスのヴィクトリア女王。お亡くなりになった4年後の1905年に建設が始まり1921年に完成したそうですから足かけ16年かけて作られたのですね。その間にデリーへの遷都もあったことになります。
展示は、ヴィクトリア女王にゆかりのある物や絵画などがあるほか、コルカタの歴史がわかる絵画や写真などが展示されていました。テーマごとにはなっているのですが、総じていえば、陳列型でもうちょっと展示物を引き立たせる方法があると思いました。また、展示物の高さがちょっと高いように思いました。具体的にいうと、絵画などの中心の高さが、160~165cmぐらいはありそうでした。日本だと150cmとするのが基本です(混雑なども考え155cmとか160cmとかにすることもあります)。インド人と日本人の平均的な身長差がどれぐらいあるかわかりませんが、実際に来ている人の身長を考えるとちょっと高い感じがしました。
セント・ポール寺院(St.Paul’s Cathedral)
イギリス統治時代の大聖堂
ヴィクトリア記念堂のすぐ近く同じモイダン公園内にあるイギリス国教会(聖公会)の大聖堂です。建設されたのは1847年。イギリス系住民のために建設されたといいます。内部はステンドグラスなどもありますが、やはりイギリスをはじめとするヨーロッパの大聖堂とはだいぶ雰囲気が違いました。
インド博物館(Indian Museum)
200年以上の歴史を持つインド最古にして最大級の総合博物館
URL: https://www.indianmuseumkolkata.org/
1814年にオープンしたといいますから200年以上の歴史を持っています。規模もインド最大級。自然史、考古・歴史、美術・工芸、民俗など幅広い分野の総合博物館です。展示方法は、陳列型というか収蔵展示というか、昔ながらの展示方法。展示資料は一級品と思われるものもありそうなので、展示をもう少し工夫した方が良いのではとついつい思ってしましました。団体で来ている若者の姿も多く地元の方で賑わっていました。
サダル・ストリート~ニュー・マーケットを歩く
インド博物館の近くにあるバックパッカー向けの安宿が多いというサダル・ストリートからニュー・マーケット付近を歩いてみました。ニュー・マーケットあたりはとても賑やかで見て歩くのが楽しいところです。
ただ、この辺りは日本人旅行者を狙った詐欺師だとか怪しい奴がいっぱいいるとか。注意が必要な場所です。実際、私も千葉県野田市で働いていたという若者に話しかけられました。日本語が話したいだけとか言っていました。ほんとにそうなら喜んで相手をしたいところですが、場所が場所ですし、警戒モードでさよならです。
ラビンドラ・バーラティー博物館(Rabindra Bharati Museum:タゴール・ハウス)
アジア初のノーベル賞受賞の詩人・タゴールの生家
地下鉄に乗って、インド国歌の作詞者でもありノーベル文学賞を受賞している有名な詩人タゴールの生家に行きました。内部は個人記念館。入り口がわからずぐるっとまわったりちょっとウロウロしてしまいましたが、どうにかたどり着きました。入館料を支払いましたが、写真を撮るかと聞かれイエスと答えると別の窓口を案内され、そこでカメラ・チケットを購入。このチケット、外観を撮影するためのチケットで、内部はこれを持っていても撮影禁止です。ちょっとなんだかなぁという気にもなりましたが仕方ありません。
展示は個人記念館らしいもの。タゴールの歩みが、ゆかりの品々とともにわかるようになっていました。タゴールは5回、来日していて岡倉天心などとも親交があったそうです。そうしたタゴールの日本とのかかわりを大きく紹介している展示コーナーが印象に残りました。ちょっと残念だったのは、日本語で書かれているものが、上下逆、逆さまに展示されているものが3点ほどあったことです。よほどお知らせしようかと思ったのですが、遠慮しておきました。
それにしても、生家があんなに大きいなんてどれだけ金持ちに家に生まれたのでしょう。
空港へ
荷物を預けていたので、ホテルまでのんびり歩いて戻りました。途中の賑やかで雑多で活気のある風景、喧騒、混沌も見納めと思いながら歩きました。
ホテルで荷物をピック・アップ。空港までのタクシー代の相場をフロントで聞きました。500~600ルピーぐらいだそうです。空港からのプリペイド・タクシーが280ルピーだったことを考えると2倍です。夕方の混雑している時間ということもあるかもしれませんがずいぶん高いです。通りに出て流しのタクシーを探しますが、なかなか来ません。数台が止まっているところがあったので、行ったみたのですが運転手がいません。交差点まで少し行きました。ちょうどそこにタクシーがやってきて、値段を聞くと、メーターが壊れているが、300ルピーで行くと言います。ホテルで聞いたのよりだいぶ安いですし、プリペイド・タクシーのことを考えると、妥当なところかと思いOKしました。乗り込もうとするとそこにさっき無人だったタクシーの運転手がやってきました。空港までなら700だとか500だとか言い出します。なんとまぁです。ダメと言って止めたタクシーに乗り込みます。乗り込んだ車のドライバーと何やら話してます。どうもいくらって行くって言ったんだ、ここは俺のシマだみたいなことを言ってそうです。いいからLet’s go!といったのですが、動き出しません。運転手が因縁をつけてきた奴に10ルピーを渡してました。それで満足しないようでさらに10ルピー。やっと出発です。しばらくしたらドライバーさんは700なんて高すぎだみたいなことを言ってました。これもインドなのですね。空港へは混雑もありましたが順調に到着しました。ドライバーが渡していた20ルピーは関係ないのですが、気持ちですので、チップも含めて350ルピーを支払いました。
シンガポールへ
チェック・インもスムーズにできました。ただ、ラウンジが使えないようで、代わりにシンガポールのチャンギ空港で使えるクーポン券をくれました。ルピーは両替するほどでもなかったので、水とコーラを買って使ってしまいました。出国手続きも問題なし。搭乗も遅れもなく始まりました。それにしてもここに来るまで、何度もボーディング・パスのチェックがありました。なぜでしょう?
今日はシンガポール航空。インド人乗客が主ですが、雰囲気が今までの航空会社とはぜんぜん違います。
いよいよインドにお別れです。心配と不安と緊張のインドでしたが、特に大きな問題もなく、どうにかなりました。感慨深かったです。ほんの上っ面らを駆け足で見ただけですが、インドを旅して心底良かったと思います。さぁ、シンガポールへ向けて出発です。
体調が…
大きな問題はなかったものの、実は、夕べ、深夜から、尾籠な話で恐縮ですが、下痢に見舞われてしまいました。やはり羽目を外して(というのもちょっと違いますが)、昨夕の買い食いがいけなかったようです。それで、観光に支障をきたすことはなかったですが、トイレにも駆け込むこともあり、ちょっときつい時もありました。その時は、インド式ウォシュレットのありがたさも感じました…。
飛行機ではぐたっとして食事もパスして眠っていました。いつも機内では数枚の写真を撮るのですが、そんな余裕もないぐらい。体調、疲労、緊張からの解放などが一挙に来たのでしょう。せっかくのシンガポール航空を楽しむことができず残念!フライトそのものは順調で揺れもなく良かったのですが…。
今日の歩数:20,419歩 世界一周はあと12日