DAY52 2018.1.4 カイロ→アスワン

エジプトでは、テロやその他いろいろと安全を考えて、かなりの部分、現地ツアーやチャーターした車で観光することにしました。今日はガイドはつかないものの車でカイロ市内観光です。朝、ホテルに迎えに来てもらい、まずはオールド・カイロに向かいます。

ピラミッドとモーニング・ムーン

月とピラミッドとスフィンクスと

目覚めてベランダに出ると、なんとピラミッドの真上にモーニング・ムーンが。貴重な体験です。

今日も朝食をたっぷりいただきました。チェック・アウトし迎えを待とうと思って外に出たらもう来ていました。出発です。

カイロ市内観光へ

カイロ市内に車で向かいます。日産の車でした。やはり、エジプトの方は、動体視力、反射神経、車両感覚が優れているのか、あおってるどころではなく、密着するように走ります。私が乗ったのはとてもきれいでしたけど、日本なら確実に廃車のボロボロの車両がいっぱい走ってました。

オールド・カイロ(Old Cairo, Masr el Adīma)

コプト地区でエジプトのキリスト教に出会う

現在のカイロ市街では南側にある、その名の通り元々のカイロであり、カイロの発祥の地です。ここではコプト地区を観光しました。コプトとはエジプトのキリスト教を指す言葉です。キリスト教の方がイスラム教よりも歴史が古いですし、エルサレムなどからも極端に遠くはなく陸続きということを考えると、この地にキリスト教が布教され、現在も信仰されているのは不思議なことではありません。聖マルコがエジプトにキリスト教をもたらしたともいわれます。また、聖家族がのがれてきたともいわれているようです。

 

コプト博物館(The Coptic Museum)

コプトの歴史を今に伝える博物館

URL: http://www.coptic-cairo.com/museum/museum.html

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コプトに関する様々な歴史的な文化財を展示しています。展示方法は実物展示中心で、解説グラフィックもほとんどなく、どちらかというと陳列と言っていいと思います。映像などの展示も気が付きませんでした。

展示されている文化財(イコン、聖書、絵画など)からはプリミティブというかとても素朴な印象を受けました。内部空間は保存のためもあってか暗めでした。もう少しコプトの歴史や解説なども含めて見せ方を工夫するとコプトへの理解が深まるのではないかと思います。

コプト博物館入り口

内部は撮影禁止でした。

 

聖ジョージ教会(Church of St.Geoge : Mari Girgis)

ここはギリシア正教の教会だとか。歴史も比較的新しく20世紀初頭に建てられたそうです。今まで見てきた教会とは雰囲気というか装飾、デザインがだいぶ違うような気がしました。

 

聖セルギウス教会(Church of St.Sergius : Abu Sarga)

この教会は、5世紀に建造され焼失などもあったものの12世紀ごろに再建された、エジプトで最も古いコプト教会の一つだそうです。この教会には幼いキリスト、マリア、ヨセフの聖家族がエジプトに逃れてきた際に身を隠したという洞窟・地下道の上に建てられているという言い伝えがあります。

このコプト地区には他にもローマ時代の塔やエル・ムアッラカ教会があります。建物だけではなく半地下のような狭い道などでもあり他のカイロとは趣が異なりました。

 

シタデル(Citadel)

丘の上にたつカイロを見渡す城塞

シタデルは、アイユーブ朝の創始者サラーフッディーン(サラディン)が十字軍の侵攻に対する拠点として1176年に建設した城塞で、19世紀まで城塞として使われていたそうです。複数のモスクがあるほか、軍事博物館や警察博物館などがあります。丘の上にありますので、カイロ市街を一望することができます。

ムハマンド・アリ・モスクは大きくてとても広い礼拝所、照明器具(シャンデリア?)がすごく印象的でした。

 

スルタン・ハサン・モスク(Sultan Hasan Mosque)

このモスクは1356年着工、1363年に完成したそうです。当時は教育施設だったとか。入り口や中庭は切り込まれたかたちになっているのですが、それがものすごく高さがあったのが印象的でした。また、このモスクのミナレットは高さ約80m、カイロで一番高いミナレットだそうです。

 

アル・リファイ・モスク(Al-Rifa’i Mosque)

スルタン・ハサン・モスクの向かいにあります。もともとは別の小さなモスクが建っていたようですが、このモスクは1911年に完成した、比較的新しいモスクのようです。内部の大理石の装飾がとても美しかったです。

ちなみにここでは聖職者のような雰囲気の方から喜捨を求められましたが、どういう方なのか良くわかりませんでした。

 

エジプト考古学博物館(Egyptian Museum)

圧倒されるエジプト考古学資料

エジプト博物館

いよいよ今日のハイライト、エジプト考古学博物館です。ここは2時間と言われたのですが、3時間の滞在にしてもらいました。なんとか一通り見ることができたと思います。

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怪しい客引き

車を降りると、すぐ目の前に見えてるのに、そっちは違う、こっちが入り口だという輩が登場(苦笑)!ガイドなんだかどっかの店に連れて行こうとしているのかわかりませんが、無視です。

チケット購入~カメラ・チケットも忘れずに

ゲートのところでチケットを購入して入り口に向かいます。入館料とミイラ室のセット券で240ポンドでした。エントランスではセキュリティ・チェックがありました。そこでわかったのですが、カメラを持ち込むにはカメラ・チケットを購入する必要があります。もう一度、チケット売り場に戻って購入しました。50ポンドでした。

建設の経緯

19世紀は帝国主義の時代というかヨーロッパ列強が世界各地に植民地を築いていた時代です。スエズ運河の開通もこの頃(1869年)です。エジプトも近代化に努めたようですが、イギリスの実質的な支配下にあるような状況に追い込まれていました。このような時代ですから、エジプトの考古学的な遺物は海外に持ち出し放題だったのでしょう。その状況を憂いたのは、1858年にエジプト考古局の初代長官に就任したフランス人考古学者、オギュスト・マリエット氏。出土品などの管理を進めたそうです。考古学博物館は当初はギザにあったようですが、1902年に現在の建物に移転し開館したそうですですから、現在地で100年以上の歴史があります。

ちなみにオギュスト・マリエット氏は、長官に就任前の1851年からの約4年間、ルーブル美術館のスタッフとしてエジプトに滞在し発掘をかなり行ったようです。その際に、発掘したものはルーブル美術館に送っていたそうです。

圧巻はツタンカーメンと王のミイラ

1階は通史的な展示になっていて、古王国~中王国~新王国と順に見ていくことができます。2階の見所はなんといってもツタンカーメン関連の展示。「黄金のマスク」は美しいこと、このうえありません。そしてもう一つ、王家のミイラもすごいです。干からびてはいますが、とても保存状態が良いというのでしょうか、4000年以上の時間が経っているとは思えません。ツタンカーメンの部屋と王家のミイラ室は撮影禁止です。

質・量ともに第一級の展示品

展示されているものは欧米では見なかったタイプのものもあり、とても興味深く拝見しました。いうまでもないことですが、展示されている品々は、質も量も第一級だと思います。もちろん専門家ではないので正確ではないかもしれませんけど…。

展示方法は、基本的に実物展示です。残念ながら解説は充実しておらず、解説パネルがわずかにある程度。映像、PC、装置、ハンズオンなどは皆無だったと思います。展示ケース自体がすでに骨とう品の領域に達していますし、LED照明などは見かけませんでした(もしかしたら王家のミイラはLEDだったかも。正確に覚えてないです)。展示品は石素材が多いからさほど気にすることはないかもしれませんが、自然光がかなりふりそそいでいるところがあるなど、もう少し保存を考えた展示にした方が良いのではと思ってしまいました。

展示手法などはあまり評価できるものではありませんが、エジプトの必見ポイントだと思います。

期待したい新博物館

調べてみると、ギザに新しい考古学博物館「大エジプト博物館」を建設中のようです。当初計画より遅れているようですが2018年中にオープンだとか。これには日本も円借款(約350億円)という形で建設費の協力をしているようです。金額の大きさには驚きますが、とても誇らしい気持ちになります。また、この博物館には付属施設として保存修復センターが作られるようで、こちらにも協力することが計画されています。博物館にとっては保存修復はほんとに大切なことですので、人材育成を含めて良い形で実現することを期待したいです。

新しい博物館の開館後に現在の博物館がどうなるのかわかりませんが、見ておくことができて良かったと思います。

ハン・ハリーリ(Khan Al-Khalili)

庶民も観光客も買い物するなんでもある巨大市場

本日最後は、カイロで一番のスーク(市場)のハン・ハリーリです。

車を降りると、またまたいました。「そっちは通れない、こっちだ」。どこかの店に連れ込み、なんかを買わせようという魂胆なんでしょうが、ついて行く気はさらさらありません。ついて行きそうになっているように見えたようで、ドライバー氏が車に乗れといいます。別の入り口に回ってくれました。車の中では、心配してくれて、絶対について行ってはダメだと言っていました。ついて行く気はないから安心してと言いたかったのですが、うまく伝えられませんでした。ちなみにこの日の車は日産で、ドライバー氏はいたく気に入っていました。

さて、この市場ですが、とても広く、メインの道路を外れて迷ったりしたらけっこう大変そうです。香辛料、水たばこ、装飾品、服、土産物など様々なものが売っています。観光客目当てのお店も多く「ミルダケ、タダ、ミルダケ、タダ!」とやたらと声がかかりました。こうした市場を歩くのはほんとに楽しいのですが、こうした日本語での客引きは勘弁してほしいです。

寝台列車でアスワンへ

市内観光を終えて、いったんホテルで休憩です。現地ツアーはいわゆる日本人宿で手配しました。日本語で対応していただけるうえ、いろいろときめ細かい心遣いもしていただけるのは助かります。

時間を見計らい宿を出発、駅に向かいます。スタッフが送ってくれます。今日乗る寝台列車はギザ駅から出発するということです。カイロの街中も喧騒に包まれていますが、ギザ駅は喧騒を超えてすごかったです。ローカル線か長距離かはわかりませんが、列車が入ってくると、とまる前から乗り込む人、続出です。扉が壊れているような車両もあり、そこでは降りる人も乗る人も押し合いへし合い。順番に整然と乗りこんでいたら、席もなくなるのか、窓から乗る人も。網棚の上で寝ている人もいます。かなり強烈でした。

一方、私は、今日はなんと1等寝台、しかも個室です!帰りは寝台ではない普通車(2等車)なんですが、乗り比べてみようと思って両極端を選んでみました。快適でした。夜と朝の食事もついてますし、ベッドメイクもしてくれます。洗面台だってついてます。本来は2人部屋のようですが、料金はかかりますが一人で独占。こんなことはそうはできませんが、思い切ってみました。まぁたまには良いでしょう。これも経験です。

それにしてもスタッフが送ってくれたので、とても楽でした。一人で移動する時は、駅までうまく行けるか、乗るところはどこか、席はどこかとかいろいろと心配しなければいけないことが多いのですが、そのあたりの心配をまったくしなくて良いというのは、なんとまぁ、ほんとに楽で快適で安心なことか。

明日は教科書でも習ったアスワン・ハイ・ダムなどを観光します。

今日の歩数:19,253歩  世界一周はあと28日