6.旅向きの性格・能力

年齢もさることながら、どちらかというと性格や能力の方が旅に影響すると思います。

特に、添乗員がいるようなパック旅行ではなく、地元の人々との出会いやかかわりを大切にしながら巡る個人旅行だと、性格の影響は大きいでしょう。たとえ、各地の人々とのかかわりは最小限にして見ることを中心とした個人旅行であっても性格的な向き不向きがあるように思います。

私はどちらというと不向きな性格だと思います。

あまりそうは思われないのですが、人見知りで初対面の人と話すのはあまり得意でないというか話したくないというか面倒くさいというか…。仕事なら話さなければいけないことがありますので、初対面であろうとなかろうと関係なくまったく問題なく話せるのですが、ことプライベートになるとだめです。人と触れ合うのが得意な人、社交的な人が本当にうらやましいです。今風の言葉でいうと、コミュニケーション能力が高い人が旅向きなのかもしれません。

それから、甘え上手な人も旅に向いていると思います。なぜなら、語弊がある言い方かもしれませんが、地元の方の好意にうまく甘えないと旅が成り立たないというか充実しない側面があるからです。観光という枠組みをこえて体験をしたいという思いがあるなら、より一層そうだと思います。普通の観光なら普通にお金を払えばできることですし。

また、誤解を恐れずにいうと、厚かましさと図々しさも大切だと旅の最中によく思いました。そうでないと見たいものも見れない場合だってあります。明るく開放的であるとともに、物おじせずにきちんと自己主張ができるとか、押しの強さも大切です。旅の最中は何かと交渉することも多いですしカモにしようとする輩が近寄ってくることも多いです。旅においては、強く折れない心を持っていることが大切です。

<広告>

矛盾はしないと思いますが、一方で、繊細さとか感性の豊かさなども大切でしょう。これらは何かを見たり人とのかかわりの基本の部分のように思います。黒澤明だったか「ファウスト」だったか忘れましたが、「天使のように大胆に、悪魔のように細心に」という名言があります。旅にもこれが大切のような気がします。

それから、リスクをどこまで取るのか、自分にはどれだけ取れるのかをきちんと考え計算できる性格や能力も大切です。対人能力が高ければ、近寄ってくる相手の意図が好意なのか悪意なのか見抜けるのかもしれません。しかし対人能力とは違うところにもいろいろな危険があると思います。この道を行ったら危なさそうだとかこのあたりはなんとかなりそうだとかをきちんと見積もりし、何かトラブルが発生した際にはどう回避し元に戻せるのかなどを明確ではないとしても頭の片隅における人がいいと思います。

そして「何でも見てやろう」的な好奇心や冒険心、挑戦心などもある方がいいことは言うまでもないことだと思います。現実から逃避する旅や自分探しの旅もあるかもしれませんが、こうした心がなければ得るものは限られ逃避や探求行為だけで終わってしまうように思います(いうまでもないことですが、逃避や探求だけではダメとは思いません)。

こうした性格を持っている人、身につけられる方はきっと色々と素晴らしい出会いと体験ができるに違いありません。

 

私はといえば、以上のような性格とはだいぶ違っているばかりではなく、小心者で心配性です。唯一旅に向いている性格があるとしたら「大雑把」なところかなと思います。

深く突き詰めて考えないくせに何かと心配したり、引きずったりしてしまう質なのですが、同時に先々のことに関して「まぁどうにかなるだろう」と大雑把に考えることができます。何かがあった時にも「ともかくどうにかしよう」と思うこともできます。普段の暮らしではマイナスも少なくない大雑把さですが、予想外のことがある旅においては大切な心のあり方で性格だと思います。

まぁそもそもこの大雑把さがなければ、世界一周しようなんて思わなかったでしょうね。